梅雨らしからぬ猛暑が続いています。
 足らざれば渇水、過ぎれば洪水、天の恵みと折り合って暮らしていくのは、なかなか難しいものです。人との付き合いもまた、そういうものかも知れません。
 さて、日本で一番降水量が多いのは屋久島だそうです。屋久島の年間平均降水量は平地で約4500ミリ、京都市の3倍以上です。林芙美子の小説『浮雲』に、「屋久島は月のうち、三十五日は雨というぐらいでございますからね・・・」と記されているところです。

 約20年前のゴールデンウィークに屋久島を訪れ、「縄文杉」へのトレッキングツアーに参加したことがありました。薄暗いうちに宿を出て、登山口から、降りしきる雨の中、厚い雲をかき分けるようにして歩くこと数時間、縄文杉にたどり着きます。杉の根元は植生保護のため立入禁止になっており、少し離れた場所に木製の展望デッキが設置してありました。
 ところが、このデッキの上が、朝夕の地下鉄のホーム並みの混雑で、腰を下ろすこともできません。立ったまま弁当を遣っていると、食べ終わるころには、雨合羽から滴った水が容器の底にうっすらと溜まっていました。雨と霧と汗とで着衣も荷物も濡れて、湿度100パーセント、当時最新のデジカメは早々にブラックアウトする一方、大学時代以来の愛機「ニコンFE」はミラーボックスの中まで結露しながら動き続け、頼もしい限りでした。
 薄暮のころ下山し、宿で一風呂浴びた後、屋久島の超軟水で造った芋焼酎「三岳」(みたけ)とゴマサバの刺身を堪能しました。
 海、空、山と、生きとし生けるものの身体を巡る、水の循環を実感した旅でした。

 今年の梅雨明けは早いようです。
 夏空の下、3年ぶりの山鉾巡行を待ち望む、7月が始まります。

川口法律事務所