コラム

去る者追わずと言うけれど

2014.04.02

配偶者と一緒に暮らすのが「もう耐えられないから別居したい」、配偶者から突然「別居したいと言い出された」、あるいは、出張に行っている間に配偶者が「子供を連れて出て行ってしまい、どこにいるのかわからない」、などという相談を受けることが、増えているような気がします。

長年会話らしい会話もなかったとか、話し合ったって無駄だというような理由付けはそれぞれあるのでしょうが、そもそも夫婦には同居義務(民法752条)があり、正当な理由なく同居に応じないことは、「悪意の遺棄」(民法770条1項3号)として、それ自体が離婚の原因となる可能性もあります。
もちろん、配偶者からの暴力(いわゆるDV)があって、生命や身体に重大な危険が生じるような深刻な事案では、「今すぐ逃げろ」というのが唯一かつ絶対的な正解であり、そうでない場合でも、同居を継続するようには求め難い事案もあるのですが、理由も告げられないまま突然に別居ということになれば、相手方の感情は相当に厳しいものとなります。
ましてや、別居した配偶者から婚姻費用(生活費)を支払うように求めていたり、子供の親権の帰属や面会交流について争いがあったり、というケースでは、「勝手に出て行っておいて、何を言うのだ」という悪感情が、いつまでも尾を引くことになりかねません。

もっとも、円満に行っていないこと自体は、夫婦のどちらもが多かれ少なかれ認識しているはずだから、いずれ別居は避けがたいのであり、まずは一定の距離を確保してから、夫婦の関係の解体、清算にとりかかるべきだ、という考え方もありうるかと思います。
「女性のための離婚相談」を標榜する法律事務所の中には、「弁護士に依頼すれば、相手方と直接話さずに、スムーズに離婚を進めることができる」などと述べる向きもあるようですが、果たしてそのような対応がベストなのかは、一概には言えません。

「去る者追わず」というのが私個人のポリシーではありますが、そうはいかないのが現実。
ただ別居できればよいというのではなく、離婚するのが究極の目的なのであれば、少なくとも、かくかくしかじかの理由でもう一緒にはやっていけない(だから別居する)、その先のことはこのように考えている、という宣言だけは自分の肉声で相手方に伝えておかないと、その先の展開がなおさら困難になるのではないか、というのが私の経験的な感想です。
当事務所としては、離婚に関する相談は、男女比がいずれも拮抗する状況ですので、そのような考え方はお伝えしながらも、それぞれの事案について相談者の気持ちを尊重しつつ、できる限り感情的な対立や経済的なインパクトが少なくなるような進め方が提案できるよう、心がけているところです。

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