保育園や特別養護老人ホーム等、社会福祉事業の担い手として、「社会福祉法人」がありますが、本年3月末に大幅な法改正が行われ、来年4月1日から施行されることになりました。
改正法では、現行法が任意としていた「評議員会」の設置が必須となります。
学校法人が運営している幼稚園では、既に、評議員会の設置義務があるので、「幼保一元化」の関係等もあって同じような制度が導入されるのかとも思ったのですが、社会福祉法の改正法では、評議員は理事、監事、職員と兼ねることができないほか、役員の親族も排除されることなど、私立学校法の評議員制度と全く異なる、極めて厳格な内容になっています。
社会福祉法人の営む事業には、児童福祉事業以外に高齢者福祉事業があり、たぶんそちらの方が事業規模も抱えている問題も大きそうなことや、一連の公益法人制度改革との摺り合わせが必要と考えられたのでしょう。
法改正の概略と、改正法の施行に備えて準備すべきことは、以下の京都市のサイトがよくまとまっています。
「社会福祉法等の一部改正について」
https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000200375.html
ざっと見たところ、改正法のエッセンスは、
1) 理事の選任権は第三者(評議員会)が持つ。
2) 評議員会は理事会と人的に完全分離
3) 理事長の親族で理事に選任できるのは1人だけ(理事定数6人の場合)
4) 役員と評議員の損害賠償義務の規定が、会社法並みに整備された。
5) 本業での内部留保が積み上がったら、「無料又は低額な料金」で「地域における公益的な取組」をさせる。
というものです。
保育園を1箇所だけ経営しているような小規模な社会福祉法人では、先代とか先々代が、どこかの時代にゼロから始めて、「家業」として承継してきたものを、いきなり法律が変わって、周囲は第三者ばかりになり、理事の法的責任と法人の社会的責務だけは重くなるというのですから、恐らく相当な戸惑いがあるだろうと思います。
理事、監事の適格要件も法定されましたので、もし、現在の役員構成が縁故を中心に続いてきたものなのであれば、誰がどの要件に適合しているのかという観点から、見直さなければならないかも知れません。
いずれにせよ、今年度末(2017年3月末)までに、所要の定款変更をし、評議員の選任の手順も確立しなければなりません。あまり時間がありませんが、これからも地域社会から必要とされる存在として存続していくために、まずは現在の理事会で問題意識を共有し、意思統一が必要です。